濃硫酸を溶媒とする糖類のエステル化反応(第1~3報) (第2報)D-グルコース-硫酸およびそのカルシウム塩の合成

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タイトル別名
  • The Esterification of Carbohydrates in Concentrated Sulfuric Acid. I-III. II. The Synthesis of D-Glucose-6-Sulfate and Its Calcium Salt

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説明

冷濃硫酸にグルコ-スをとかしてクロルスルホン酸を作用させ,反応液を冷エーテル中に注入して結晶として沈殿させる。この沈殿を水酸化バリウムまたは水酸化カルシウムで処理して,D-グルコース-6-硫酸およびそのカルシウム塩(mp140° ~1430℃(分解))を約80%の収率で容易に合成した。D-グルコース-6-硫酸カルシウムの赤外線吸収スペクトルはα-ピラノース環に由来する917,844,766cm-1またはβ-ピラノース環に由来する920,891,774cm-1付近の三つの吸収が現われず164cm-1付近にアルデヒド基のvc=oと考えられる吸収が現われる。またD-グルコース-6-硫酸の水溶液はフェーリング溶液をD一グルコースに比較してすみやかに還元し,亜硫酸水素ナトリウムと沈殿を生ずること,明瞭なシッフ反応を示すことなどから遊離アルデヒド基の存在が認められる。これらのことからD-グルコース-6-硫酸エステルカルシウムは従来考えられていたようなピラノース環状構造でなく開環した鎖状構造をとるものと考えられる。

収録刊行物

  • 日本化學雜誌

    日本化學雜誌 82 (4), 471-472, 1961

    The Chemical Society of Japan

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