歴史教育における価値注入回避の論理 : 中等ホルト社会科『新合衆国史』を手がかりとして

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タイトル別名
  • A Methodology for Avoiding Indoctrination in Teaching History : On the Basis of "A New History of the United States"
  • レキシ キョウイク ニ オケル カチ チュウニュウ カイヒ ノ ロンリ チュウトウ ホルト シャカイカ シン ガッシュウコクシ オ テガカリ トシテ

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抄録

歴史教育における永続的な問題の一つに,「価値注入」がある。歴史を描こうとすれば,必然的に何らかのものの見方が入り込む。そして歴史を一つの通史として描き,系統的に教授するとき,事実の名のもとに価値を注入する可能性は高くなる。この問題を克服するべく,本研究では,アメリカで開発された中等ボルト社会科『新合衆国史』(第11学年)の分析を通して,歴史教育における価値注入回避の論理を明確にする。分析の結果,以下の二点の方法論を抽出し,具体的な内容編成のしかた(カリキュラムから単元まで)を明らかにした。(1)視点を段階的に変えながら歴史を解釈させることによって,一面的で偏狭な決定論的認識を与えないようにすること。すなわち,様々な角度から因果関係を引き出させることによって,特定の見方に偏った知識が子どもに内面化されるのを防ぐこと。(2)歴史を解釈させる際に,その根拠となる法則的知識(主に社会諸科学から援用される)をたえず明示させ,批判吟味させる過程を学習に組み込むこと。すなわち,法則性を帯びた知識が,明示されないまま,無批判に子どもに内面化されるのを防ぐこと。

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