肖像情報に関する権利利益の諸相

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タイトル別名
  • Legal aspects of a Portrait as Personally Identifiable Information
  • ショウゾウ ジョウホウ ニ カンスル ケンリ リエキ ノ ショソウ

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抄録

本稿では、肖像の利用をめぐる判例法理について、事案と判示の相違を整理することにより、それぞれの射程を明らかにする。<br>第一に、最高裁のいう「私生活上の自由」は、いわゆる「人格的利益」そのものとは区別される予防的な段階で、公権力との関係においてのみ機能する「一般的自由」を保護するための法理と理解することができる。<br>第二に、私人による写真撮影を違法とした判例は、侵害行為の態様が悪質であること、撮影された姿態が本人の名誉感情を害する内容であること、本人の合理的な期待を害したことという事情を総合的に考慮したものであり、「肖像権」という権利の侵害として違法性を推定する構成を排除したものである。<br>第三に、最高裁が、パブリシティ権侵害の判断で「肖像等それ自体の商業的価値」に基づく「顧客吸引力」を基準としたことは、人格権の本体に基づく精神的価値の保護とは異質の法的構成を創設したものと解される。

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参考文献 (123)*注記

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