質量分析法によるアルコールクラスターイオン観測の理論的解釈

  • 大古 善久
    (独)産業技術総合研究所 環境管理技術研究部門,〒305-8565 つくば市小野川16-1
  • 久保 史織
    (独)産業技術総合研究所 環境管理技術研究部門,〒305-8565 つくば市小野川16-1
  • 長嶋 雲兵
    (独)産業技術総合研究所 ナノシステム研究部門,〒305-8562 つくば市梅園1-1-1

書誌事項

タイトル別名
  • Theoretical Interpretation of Alcohol Cluster Ions Detected by Mass Spectrometry
  • シツリョウ ブンセキホウ ニ ヨル アルコールクラスターイオン カンソク ノ リロンテキ カイシャク

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抄録

電子衝撃イオン化法による質量分析で,水-アルコール混合溶液のクラスターイオンを観測すると,高純度アルコールの場合には,小さなクラスターイオンのみが観測される一方で,少量の水を添加した場合には,大きなクラスターイオンが観測されるという興味深い報告がある.本論文では,エタノール3分子と水1分子から成るクラスターモデルを仮定し,Hartree-Fock法を用いて,水がアルコールクラスターに与える影響を理論的に解明する事を試みた.用いた計算方法はHF/6-31G**である.その結果,水を含むクラスターの場合,イオン化するのはアルコール分子だが,クラスターイオンのプロトン供給源は水分子であることがわかった.つまり,水分子が解離することでイオン化に伴う余剰エネルギーを持ち去り,クラスターイオンを安定化している.一方,水を含まない場合,イオン化の余剰エネルギーはクラスター全体に分配される.このため,大きなクラスターイオンは真空中で分割されて観測されないことがわかった.

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