廃プラスチックの熱分解による化学原料化・燃料化

  • 熊谷 将吾
    東北大学大学院環境科学研究科先端環境創成学専攻
  • 吉岡 敏明
    東北大学大学院環境科学研究科先端環境創成学専攻

書誌事項

タイトル別名
  • Feedstock Recycling <i>via</i> Waste Plastic Pyrolysis
  • Feedstock Recycling via Waste Plastic Pyrolysis

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抄録

<p>環境負荷低減および将来的な国内資源確保の観点から,廃プラスチックのリサイクルの推進は必要不可欠である。国内における廃プラスチックの有効利用率は年々増加しており,2014年には83 %に達している。しかし,有効利用率に占めるマテリアルリサイクルおよびケミカルリサイクルの割合はわずか26 %および4 %と低く,残りの70 %は熱回収に留まっている。つまり,マテリアルリサイクルやケミカルリサイクルによる有効利用率を向上できるポテンシャルは極めて大きい。本稿では,ケミカルリサイクルの一つである廃プラスチックの熱分解法に着目する。熱分解法は,マテリアルリサイクルに適用困難な混合廃プラスチック等の油化およびガス化を可能とする。しかし,現実には,ポリ塩化ビニル(PVC)やポリエチレンテレフタレート(PET)が,熱分解により腐食性ガスや高沸点の昇華性物質を生成し,熱分解生成物品位の低下および処理設備の腐食・閉塞(そく)の原因となるため,これら樹脂の含有量の多い廃プラスチックは依然として処理が困難となっている。著者らは,これまで,これら問題点の打開を目指し,PVCの乾式法および湿式法による脱塩化水素および脱塩素プロセス,石灰を用いたPETの熱分解油化について検討を進めてきた。本稿では,まず主要な樹脂であるポリエチレン(PE),ポリプロピレン(PP),およびポリスチレン(PS)に関する熱分解研究の現状について総括し,著者らの報告してきたPVCの脱塩化水素および脱塩素プロセス,さらに石灰を用いたPETの熱分解油化プロセスを中心にPVCやPETの熱分解研究について紹介する。</p>

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