ヒンダードアミン光安定剤の統一的作用機構の模索

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  • Search for Unified Action Mechanism of Hindered Amine Light Stabilizers

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ヒンダードアミン光安定剤(HALS)は他の添加剤と異なって多くの機能を有し,高分子材料の長寿命化に頻繁に使用されているが,それは併用する添加剤のえり好みが激しい。その組合せは必ずしも相乗作用ではなくて,拮抗作用を示すことがしばしばある。結果としてHALSを中心とした他の添加剤との相互作用については,多くの研究が報告されている。しかし,その成果の多くは相互作用を大きな相乗作用から大きな拮抗作用までの多様な局面に対して定性的に議論し,相互に統一性を欠いている。<br>HALSおよびその同族体には多くの誘導体が知られている。本論文では,これらの誘導体を「良いHALS」と分類し,一方で著者らが新しく発見したHALS誘導体,すなわちHALSニトロソニウムを「悪いHALS」として表記する。過去の研究はこの良いHALSを用いてHALSの他の添加剤との悪い拮抗作用を説明しようとした。ここに問題があった。本論文は,HALSと他の添加剤の混とんとする相互作用を,これもまた著者らが発見した良いHALSによる相乗作用と悪いHALSによる拮抗作用とに分けて動力学的,かつ熱力学的に議論する。その結果として,上述したような広範にわたる相互作用を半定量的,かつ統一的に説明する研究手法を提案する。<br>本論文で総括する成果は,諸事実の発見によりHALSの複雑で多岐にわたる性質を明らかにし,これらに基づいてHALSの単独でのおよび他の添加剤共存での作用機構を統一的に議論しうる可能性を提示することである。この統一的な考えに基づいて高分子材料の安定化および機能化を行えば,従来よりも非常に容易に添加剤処方が決定でき,かつさらには新添加剤の開発が可能となるであろう。

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