有機多座配位子を活用するゾルゲル法による固体触媒の設計と触媒性能

  • 水上 富士夫
    (独)産業技術総合研究所 コンパクト化学プロセス研究センター

書誌事項

タイトル別名
  • Design of Solid Catalysts by Sol-gel Method Using Organic Polydentate Ligands and Their Catalytic Performance

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説明

有機多座配位子をゾルゲル過程で活用することによる優位性や効果を論じた。本ゾルゲル法による金属酸化物および複合金属酸化物の調製手順を示すとともに,シリカやアルミナ,酸化鉄および数種の複合酸化物で本ゾルゲル法による金属酸化物粒子の設計すなわち比表面積,粒子径,細孔径および構造の制御を例示した。さらに,本ゾルゲル法,沈殿法および混練法で調製した複合酸化物に関し,構成粒子の分散性や組成の均質性を比較したところ,本ゾルゲル法による複合酸化物が最も分散性が良く均質であった。これを反映して,シリカ・アルミナでは本ゾルゲル法によるものが沈殿法および混練法によるものに比べ,固体酸量が多く,芳香族化合物のアルキル化反応でも優れていた。本ゾルゲル法により,燃焼触媒の担体として有用な耐熱性の高いアルミナやアルミナ複合酸化物も得ることができ,実際にも,これらを担体とする白金およびパラジウム触媒はモデル排ガス浄化反応で高性能を示した。担持金属触媒では,本ゾルゲル法によるシリカ担持ルテニウムおよびパラジウム触媒はそれぞれ焼成することなく水素雰囲気下で活性化すると,ベンゼンからのシクロヘキセン合成および酸塩化物からのアルデヒド合成に高性能を発揮した。同様な手法で調製,処理したルテニウム・すず・アルミナ触媒は,炭素-炭素二重結合を保持したままで,不飽和脂肪酸を対応する不飽和アルコールへと変換した。さらに,本ゾルゲル法によるこのルテニウム・すず・アルミナ触媒は芳香族カルボン酸の対応するアルコールへの変換や両末端カルボン酸の対応するヒドロキシカルボン酸およびジオールへの変換にも優れていた。

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参考文献 (145)*注記

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