神津島天上山テフラの同定とその層位に基づく富士火山の西暦700 ~1,000 年の噴火史

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  • Eruptive history of Fuji Volcano from AD 700 to AD 1,000 using stratigraphic correlation of the Kozushima-Tenjosan Tephra
  • Eruptive history of Fuji Volcano from AD 700 to AD 1,000 usings stratigraphic correlation of the Kozushima-Tenjosan tephra
  • Eruption history of Fuji volcano from AD 700 to AD 1,000 using stratigraphic correlation of the Kouzushima-Tenjosan Tephra

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抄録

富士火山,伊豆半島周辺(箱根・東伊豆)及び伊豆諸島(三宅島・新島)で採取した,おおむね地表付近の風化火山灰土中に含まれる珪長質降下テフラ起源の火山ガラスを対象にして,電子・実体顕微鏡観察,発泡度解析及び屈折率測定等から給源テフラの同定を試みた.火山ガラスの粒径分布,特徴的に低い屈折率のほか,発泡度の特徴等から,これらの地域には神津島天上山テフラ(西暦838年)起源の火山ガラスが広く分布することが明らかとなった.神津島天上山テフラ起源の火山ガラスの特徴と,その火山ガラスが検出された層位との関係から,富士火山の側火山起源噴出物(スコリア・溶岩流)の噴出年代の整理を試みた.その結果,従来の炭素同位体年代測定では分離できなかった,9~10世紀頃に頻発した富士火山の多くの噴火に対して,噴出年代の制約条件としての高精度な時間軸を設定することができた. 本研究の結果,神津島天上山テフラ起源の火山ガラスの濃集層準(降灰層準)がより上位にあると判断した噴出物は,「大淵スコリア」,「鑵子山スコリア」及び「西二ツ塚スコリア」(以上,南及び南東斜面)と,「鷹丸尾・檜丸尾第2溶岩流」及び「御庭・奥庭第2噴火噴出物」(以上,北及び北東斜面)である.一方,神津島天上山テフラの降灰層準よりがより下位にあると判断した噴出物は,「不動沢溶岩流」,「大淵丸尾溶岩流」,「東臼塚南溶岩流」及び「水ヶ塚丸尾溶岩」(以上,南及び南東斜面)と,「剣丸尾第2溶岩流」,「貞観噴火噴出物(青木ヶ原溶岩流と長尾山 スコリア)」及び「天神・イガトノ噴火噴出物」(以上,北及び北東斜面)である.このほか,富士火山の東山腹周辺のテフラ層序についても,神津島天上山テフラの降灰層準との層位関係等に基づき新たに再検討し,「須走溶岩」が神津島天上山テフラよりも上位にあることが明らかになった.

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