健康診断時の心電図自動診断で見逃したブルガダ症候群の一例

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  • A Case of Brugada Syndrome Misdiagnosed as Normal by Automatic Analysis of Electrocardiographic Monitor in Annual Health Examinations

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抄録

【はじめに】ブルガダ症候群とは、心電図の右側前胸部誘導に特徴的なST上昇を呈し、突然に心室頻拍・心室細動を生じて、失神や突然死を生じる疾患として知られている。健診時の心電図で異常なしとされていたが、突然の心室細動にて救急搬送されブルガダ症候群が診断された一例を経験したので報告する。<br>【症例】45歳、男性。2014年より継続して当施設の定期健康診断を受診していた。2014年2月初診時、身体所見に異常を認めなかった。また、自覚症状、既往歴とも特記すべき事はなかった。検査結果では、胸部X線所見は正常で、生化学検査ではT-cho: 256mg/dL、LDL-cho: 180mg/dL、TG: 161mg/dLと軽度高値を認める以外に異常を認めなかった。心電図は初回の2014年2月、2014年9月、2015年9月と3度受けていたが、いずれも心電図自動診断にて正常とされていた。2016年4月、夜間就寝時に突然意識消失をきたしているところを家人が発見し救急搬送となった。搬送先の病院にてブルガダ症候群と診断された。専門病院に転院後、植込み型除細動器の手術を受け、無事退院となった。<br>【考察】健診時の心電図自動診断では異常なしとされており、saddle backタイプのブルガダ型心電図の波形が正常と診断されていた。最近の心電図自動診断のソフトはブルガダ型心電図の自動診断基準に対応しているが、そういった心電計においてもしばしばブルガダ型心電図が見逃され、不完全右脚ブロックやRSR’パターン等の判定にされる場合がある。ブルガダ型心電図の健診時の検出率は、0.14%~0.9%との報告があり、決して稀ではない。ブルガダ型心電図が疑われる場合には、実波形を確認すること、V1・V2誘導の一肋間上の誘導の波形を確認すること、以前の心電図とST部分の変化を確認することが、健診でブルガダ型心電図の見落としを防ぐために重要であると考えられた。

収録刊行物

  • 総合健診

    総合健診 44 (5), 620-625, 2017

    一般社団法人 日本総合健診医学会

参考文献 (13)*注記

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