クリティカルケア熟練看護師が見出した延命治療に関する家族の代理意思決定を支える看護実践

  • 吉田 紀子
    自治医科大学看護学部成人看護学
  • 中村 美鈴
    自治医科大学看護学部成人看護学 自治医科大学大学院看護学研究科クリティカルケア看護学

書誌事項

タイトル別名
  • Expert critical care nurses’ practices to assist patients’ families with surrogate decision-making regarding life-sustaining treatment
  • クリティカルケア ジュクレン カンゴシ ガ ミイダシタ エンメイ チリョウ ニ カンスル カゾク ノ ダイリ イシ ケッテイ オ ササエル カンゴ ジッセン

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説明

本研究の目的は、延命治療に関する家族の代理意思決定支援に関して、クリティカルケア熟練看護師が見出した家族の意思決定を支える看護実践を記述することにより、看護実践の示唆を得ることである。関東近郊の救命救急センター、ICU、CCUに勤務をしているクリティカルケア領域での経験年数が5年以上の看護師を研究協力者とした。データの収集方法は、半構造化面接法により、延命治療に間する家族の意思決定を支える看護実践についての語りをデータとした。面接で得られたデータから逐語録を作成し、データが組み込まれた文脈に関して再現可能で妥当な推論を行うKrippendorff(1980、三上ら訳1989)の手法を参考に、コード化し、意味内容の類似するまとまりごとに高次化する作業を繰り返し、カテゴリを導き出した。倫理的配慮は、研究者が所属する施設の研究倫理審査委員会の承認を得たうえで、研究目的と意義、調査内容、研究協力と途中辞退への自由意思の保証、調査データの匿名性と研究以外でデータを使用しないことの保証、研究公表の可能性に関する説明を口頭および文書にて説明して同意を得た。研究協力者は関東近郊の7施設の救命救急センター、集中治療室に勤務する看護師13名であった。研究協力者の看護師経験年数の平均は13.8±4.29年、クリティカル領域の経験年数の平均は12.2±3.29年であった。家族の意思決定を支える看護実践では【意思決定に関わる人々の間の関係性を育む】 、【意思決定に対峙する家族の準備を整える】 、【医療・看護チームのチーム力を高める】 、【家族の気持ちを後押しする】 、【意思決定プロセスの最後まで添い続ける】 、【家族の合意形成に向けて調整を図る】、の6カテゴリが導き出された。導き出された看護実践の特徴は、【医療・看護チームのチーム力を高める】 、【意思決定に関わる人々の間の関係性を育む】 、【家族の合意形成に向けて調整を図る】など意思決定に参加している人々の調和を図る役割と、【意思決定に対峙する家族の準備を整える】 、【意思決定プロセスの最後まで添い続ける】 、【家族の気持ちを後押しする】など家族の傍で伴走する役割であると考えられた。そして、熟練看護師たちの語りから導き出された、家族の代理意思決定を支える看護実践は、1つ1つの実践を重層的に折り重ねながら、それらの総和により家族の代理意思決定支援へと向かうという様相を示していた。

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