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- タイトル別名
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- Increase in global function index in subjects with preserved left ventricular ejection fraction
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説明
目的:左室駆出率は,必ずしも心機能を鋭敏に反映しているわけではなく,実際に左室駆出率が正常に保たれている心不全患者も多い.そのような患者でも心不全マーカーである血中brain natriuretic peptide (BNP)は高値であり,左室駆出率での心不全リスク評価には限界がある.また,血中BNPは,器質的心疾患を有さず左室駆出率が正常でも加齢に伴い上昇することが知られている.そこで,本研究では組織ドプラを用いた心エコー指標であるglobal function index (GFI)=E/E′/S′が,左室駆出率が正常な患者において血中BNP同様に加齢性変化を示すか否か,また,どのような因子がGFI上昇に関連するか検討した.対象と方法:2015年4月から2016年3月の間に当院生理検査室において心エコーを行った患者のうち,器質的心疾患を認めない症例(770例)を対象とした.まず,GFIと年齢の相関を検討し,さらに各年代におけるGFIを求め,年代間で差を認めるか検討した.またGFI高値(対象患者の75パーセンタイル以上)にどのような因子が関連するかを多変量解析で検討した.結果:GFI平均値(標準偏差)は,1.70(0.95) s/cm,中央値(四分位範囲)は,1.49 s/cm (1.04, 2.10),年齢平均値(標準偏差)は,67.1(16.5)歳,男性は355人(46.1%)であった.GFIは,年齢と有意な正相関を示し(r=0.567, p<0.001),10歳ごとの隣接する年代間でも有意差を認めた.また,GFI高値を目的変数とする多変量解析の結果,年齢(オッズ比2.650, 95%信頼区間(CI) 2.070‐3.410),性別(男性オッズ比 0.386, 95%CI 0.249‐0.598),高血圧(オッズ比 1.730, 95%CI 1.070‐2.800),糖尿病(オッズ比 1.660, 95%CI 1.020‐2.700),左房径(オッズ比 1.050, 95%CI1.020‐1.090)の各因子が,GFI高値に関連した.結論:器質的心疾患を認めない症例において,GFIは,血中BNP同様に加齢に伴う変化を認めた.また,GFI高値に関連する要因は,年齢,女性,高血圧,糖尿病,左房径であった.いずれも,心血管病リスク因子であり,GFIが左室駆出率が正常な患者における簡便な予後予測因子となり得る可能性が考えられた.
収録刊行物
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- 超音波医学
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超音波医学 44 (5), 439-445, 2017
公益社団法人 日本超音波医学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390001205198812160
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- NII論文ID
- 130006082112
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- ISSN
- 18819311
- 13461176
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- Crossref
- CiNii Articles
- OpenAIRE
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可