採血による血管迷走神経反応の実態調査ならびにその対応について

  • 粟田 有紀
    健康保険組合連合会大阪中央病院健康管理センター
  • 川﨑 エミ
    健康保険組合連合会大阪中央病院健康管理センター
  • 大谷 美幸
    健康保険組合連合会大阪中央病院健康管理センター
  • 酒田 伴子
    健康保険組合連合会大阪中央病院健康管理センター
  • 新城 泰子
    健康保険組合連合会大阪中央病院健康管理センター
  • 長田 三枝
    健康保険組合連合会大阪中央病院健康管理センター
  • 大野 秀樹
    健康保険組合連合会大阪中央病院健康管理センター
  • 大橋 秀一
    健康保険組合連合会大阪中央病院健康管理センター

書誌事項

タイトル別名
  • Strategy for the precaution of vasovagal reactions (VVRs) during blood sampling in our healthcare center

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説明

【背景】血管迷走神経反応(vasovagal reaction: VVR)は、採血中や採血後に迷走神経興奮によって生じる諸症状を総称する。血圧低下、徐脈、吐き気などを示し、重症の場合には、意識消失、痙攣、失禁にいたる。不安や緊張によって起こりやすいと言われており、採血の副作用としては最も発生頻度が高いとされている。<br>【目的】健保連大阪中央病院健康管理センターにおけるVVRの実態調査を行い、対応策を作成する。<br>【方法】2012年11月から2013年10月までの1年間に、総受診者55,150名中VVRを発症した144名を対象として、発症率・性別・年齢・程度・採血体位・回復時間を調べた。程度の判定基準には厚生労働省の「血管迷走神経反応による症状群の程度別分類」を用いた。さらに看護師20名の意識調査を行い、これらを総合的に検討した。<br>【結果】VVR発症率は0.26%、男女比では女性が、年齢別では若年層が高い傾向となった。程度別では最も軽いⅠ度が128名(88.9%)、Ⅱ度が9名(6.3%)、Ⅲ度が7名(4.9%)となった。採血体位ではベッド上採血が全てⅠ度にとどまり、重症化を防いでいる事が分かった。回復時間は106名(73.6%)が5分以内に回復し、離床上の有用な目安となった。また、看護師の意識調査からⅡ度以上は15分間のベッド上安静が適切であると判断した。<br>【結語】健診での採血時VVRは高頻度ではないが特に若年者、女性に注意することが重要である。また離床上の目安としては5分毎のバイタルサイン測定を織り込んだ「採血によるVVR対応策」を作成することによって、一定の安全対策が確立できた。

収録刊行物

  • 総合健診

    総合健診 42 (6), 623-628, 2015

    一般社団法人 日本総合健診医学会

参考文献 (1)*注記

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