2012年積雪期に発生した国川地すべりの運動特性

  • 木村 誇
    独立行政法人土木研究所雪崩・地すべり研究センター
  • 畠田 和弘
    独立行政法人土木研究所雪崩・地すべり研究センター 日本工営(株)
  • 桂 真也
    独立行政法人土木研究所雪崩・地すべり研究センター
  • 丸山 清輝
    独立行政法人土木研究所雪崩・地すべり研究センター
  • 秋山 一弥
    独立行政法人土木研究所雪崩・地すべり研究センター

書誌事項

タイトル別名
  • Movement of the Kokugawa landslide in the snow season of 2012
  • 2012ネン セキセツキ ニ ハッセイ シタ コクガワ ジスベリ ノ ウンドウ トクセイ

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抄録

2012年3月7日に新潟県上越市で発生した国川地すべりの運動特性を明らかにするため,航空レーザー測量データと空中写真の解析,現地測量,土塊のトレンチ調査を実施し,地すべり土塊の運動形態と移動量を解析した。地すべり斜面は発生域,移送域,堆積域に分けられ,発生域で起こった回転すべりが移送域から堆積域にかけてアースフローへ変化した複合すべりであった。堆積域に滑り出した土塊の移動速度は3月10日までに0.11m/hに減速したが,その後も日平均1m/h未満の移動が続き,運動持続期間は約16日間に及んだ。移送域から堆積域にかけて,土塊は斜面傾斜方向に直進しており,明らかな移動方向の偏向や減速は堆積域末端を除き認められなかった。堆積域で土塊の運動が直ちに変化しなかったのは,元地表にあった沖積粘土層への非排水載荷が過剰間隙水圧を発生させ,せん断抵抗が低下したためと考えられた。堆積域にあった積雪は土塊の周囲に押し出され,雪塊を形成した。このため,土塊の底面や内部に多量の積雪が巻き込まれることはなかったものの,雪塊が土塊の側方への拡散を妨げていたことが示唆された。

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参考文献 (4)*注記

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