「観念性失行」/「観念運動性失行」の解体に向けて―症状を適切に把握するために―

  • 望月 聡
    筑波大学大学院 人間総合科学研究科 ヒューマン・ケア科学専攻 (心理学系)

書誌事項

タイトル別名
  • Toward the dissection of "classical" nosological classification of ideational apraxia/ideomotor apraxia
  • ─症状を適切に把握するために─

抄録

古典的失行とされる観念性失行 / 観念運動性失行の分類を再考する試みを行った。はじめに,臨床場面において病態把握のための検査を施す際に考慮すべき,行為のカテゴリー,入力刺激提示様式・出力様式,誤反応分析の3 つの観点を整理した。次に,Liepmann モデルから Rothi-Ochipa-Heilman モデルまでの拡張の経緯を概観したうえで,失行症状が出現すると想定される7 つの原因を示し,症状発現機序を考察するうえでの有用性を論じた。最後に,他の高次脳機能障害と失行症状 (行為表出障害) との関連について言及し,むしろ積極的に他の高次脳機能との関係で「行為」を捉える視点の必要性を論じた。これらの理由から,観念性失行 / 観念運動性失行の分類体系は,今日の視点からみると症状を過度に矮小化して捉えてしまうおそれがあり,症状も発現機序も適切に把握することができないことから,解体すべきであると思われた。

収録刊行物

参考文献 (12)*注記

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205203937664
  • NII論文ID
    130004467643
  • DOI
    10.2496/hbfr.30.263
  • ISSN
    18806554
    13484818
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • Crossref
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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