小児の失読失書 1 例における音読の障害機序に関する検討

  • 狐塚 順子
    筑波大学大学院 人間総合科学研究科 埼玉県立小児医療センター 保健・発達部 NPO 法人 LD ・ Dyslexia センター
  • 宇野 彰
    筑波大学大学院 人間総合科学研究科 NPO 法人 LD ・ Dyslexia センター
  • 三盃 亜美
    Macquarie University 日本学術振興会

書誌事項

タイトル別名
  • Investigation of the Possible Mechanism Underlying Acquired Childhood Alexia with Agraphia in a Reading Aloud Task
  • —In the Framework of the Dual-route Cascaded Model
  • ─二重経路モデルを適用して─

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抄録

モヤモヤ病により左側頭葉および左後頭葉に脳梗塞を起こし, 失読失書を呈した 10 歳の右利き男児例において, 二重経路モデルを適用し音読の障害機序について考察した。本症例では軽度に視知覚の問題があるため, 「文字の形態的特徴の検出」および「形態的特徴に基づく文字の同定」の両者が十分に機能しないことから, 非語彙経路と語彙経路の双方に影響があると思われた。加えて非語彙経路では, ひらがなおよびカタカナ 1 モーラ表記文字の音読で正答できない文字が認められ, 漢字非語の音読成績が -2SD 以下であることから, 文字から音韻への変換が困難であると考えられた。語彙経路では, 漢字単語の語彙判断成績が -1.5SD 以下と低いことから, 「文字列入力辞書」が十分に活性していないと思われた。一方, SCTAW 文字─指さし課題と音声─指さし課題, および SLTA 呼称の成績がともに平均域だったことから, 「意味システム」へのアクセスと「意味システム」自体は正常と思われた。

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参考文献 (23)*注記

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