高齢者施設の感染症予防を踏まえた室内湿度の改善

  • 林 基哉
    国立保健医療科学院統括研究官(建築施設管理研究分野)

書誌事項

タイトル別名
  • Improvement of indoor humidity with consideration in infection control in facilities for the elderly
  • コウレイシャ シセツ ノ カンセンショウ ヨボウ オ フマエタ シツナイ シツド ノ カイゼン

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抄録

高齢者施設の室内環境の実態調査によって,冬期の室内湿度が建築物環境衛生管理基準(40-70%)を満たしていないことが明らかとなった.高齢者施設ではインフルエンザの空気感染予防等のために湿度維持が重要であるが,加湿設備が整備されていない場合が多い.このため,多数のポータブル加湿器を用いて湿度維持を試みているが,換気量が多いために加湿の効果が得られていないことが示された.<br>以上の室内環境の特性を踏まえて,絶対湿度と一人当りの換気量からインフルエンザの感染リスクを示す指標を提案した.また,エネルギー消費量とインフルエンザの空気感染リスクの関係を踏まえた湿度改善の考え方を示した.以上の評価方法を用いて既存の高齢者施設に対する評価を行った結果,高齢者施設の湿度が非常に低いために一人当りの換気量が感染リスクを規定している状況であることが確認された.<br>以上の評価結果を踏まえて,高齢者施設の湿度維持のための以下の方策が必要であることを示した. 1. 臭気などの室内空気汚染に配慮した上で,一人当りの換気量を抑制しつつ加湿によって湿度を維持することが必要である. 2. 湿度維持に伴う結露防止へのために開口部等の断熱化が必要である.

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