韓国産ナガニシ属の一新種(腹足綱:イトマキボラ科)

  • P. Callomon
    Department of Malacology, Academy of Natural Sciences
  • M. A. Snyder
    Department of Malacology, Academy of Natural Sciences
  • R. G. Noseworthy
    Shellfish Aquaculture and Research Laboratory, School of Applied Marine Science, College of Ocean Sciences, Jeju National University

書誌事項

タイトル別名
  • A New Species of <i>Fusinus</i> from Korea (Gastropoda: Fasciolariidae)
  • A new species of Fusinus from Korea (Gastropoda: Fasciolariidae)

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抄録

2007年2月に,韓国日本海側グムジン港の沖合い50~100 mに仕掛けられた刺し網によってまとまって採集されたナガニシ属の1種を分類学的に詳しく検討した結果,既知の種類とは種レベルで区別されることが明らかとなったので新種として記載した。<br> Fusinus juliabrownae n. sp. コゲチャナガニシ(新種・新称)<br> 殻はこの属としてはやや小型(成貝の平均殻長63.4 mm,最大殻長84.3 mm),薄質で軽い。膨らみの強い紡錘形で水管が短い。螺塔上部の螺層には5対の明瞭な螺肋がある。各螺肋は2本の肋とその間隙部分からなり,また螺肋間には1~数本の間肋を有する。間肋は殻口に向かって徐々に強く,また数が多くなり,次体層や体層では螺肋とほぼ同じ強さになる。螺肋は次体層で21本,体層で50本。縦肋は丸みがあり,密にならぶ。殻口は木の葉形で,外唇側がより強く膨らみ,外唇は僅かに肥厚する。内唇縁は発達して,個体によっては体層から遊離する。殻は灰白色で,縦肋間が暗褐色となるのが一般的であるが,全体的に暗褐色となる個体もある。<br> ホロタイプ:殻長70.6 m ANSP 419161。<br> タイプ産地:韓国江原道グムジン港沖日本海, 37°39´3.08˝N,129°3´2.22˝E,水深50~100 m。<br> 備考:本種はナガニシFusinus perplexus (A. Adams, 1864)の種群に属し,既知の種類の中ではコナガニシF. ferrugineus (Kuroda & Habe, 1960)に最も近似するが,より洋ナシ型に近い殻形や,より短く溝が広く開いた水管をもつこと,各螺肋が2本の肋からなること,および体層周縁に鋭い角を欠くことで区別される。またナガニシの暗色個体にも著しく近似するが,螺肋の形態,より密に並ぶ縦肋,およびはるかに太く短い水管によって区別される。<br> 本種は最近の韓国の文献ではFusinus perplexus ferrugineus, Fusinus perplexus, Fusinus tuberosusとしてしばしば図示されていた。これらの情報に基づくと,本種は少なくとも韓国の南東部には広く分布しているものと見られる。

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