日本海の漸深海帯から再発見された “<i>Turbonilla </i>(<i>Cingulina</i>)” <i>morsei </i>Yokoyama, 1926の現生個体とそのオホーツクイトカケ属への属位変更(腹足綱:イトカケガイ科)

書誌事項

タイトル別名
  • Rediscovery of <i>“Turbonilla </i>(<i>Cingulina</i>)<i>” morsei </i>Yokoyama, 1926 from the Recent Fauna in the Sea of Japan, and its Relocation to the Genus <i>Acirsa </i>(Gastropoda: Epitoniidae)
  • Rediscovery of "Turbonilla (Cingulina)" morsei Yokoyama, 1926 from the recent fauna in the Sea of Japan, and its relocation to the genus Acirsa (Gastropoda: Epitoniidae)

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抄録

稲田陽氏が能登半島沖日本海の蟹籠漁労屑より採集したイトカケガイ科不詳種を検討した結果,Yokoyama (1926) が佐渡島沢根層からトウガタガイ科の一種として記載した種類に同定されることが明らかになった。また,過去の文献調査の結果,これまでキリガイダマシ科のユキノキリニナ,もしくはTachyrhynchus sp.として日本海中部の漸深海帯から報告されていた種類も本種であることが分かった。タイプ標本及び現生標本に基づいて再記載を行い,これに関して日本海の上部漸深海帯の固有貝類相の起源に関する議論も行った。<br>Acirsa morsei (Yokoyama, 1926) イナダイトカケ(新称)<br>殻高は最大 20 mm 内外,細長い円錐形で白色,薄質であるがやや堅固。現生個体では,胎殻は通常失われ,二次的にドーム状のカルスにより閉じられる。佐渡沢根層の化石であるホロタイプでは胎殻は完全に保存されており,1.5 層で幅 730 μm,平滑で成殻との間はやや強い成長脈で区切られる。後成殻は殻頂の欠損部分を除き 5 ~ 6 層からなり,螺層のふくらみは強く縫合は深いが,螺層間は乖離しない。各層に 5 条の太い螺溝をもち,その間は溝状となる。螺肋とその間の溝の幅の比率は個体によって大きく異なる。縦肋はなく不規則に成長線を生じるのみ。底盤は丸く周縁部はキールにならない。臍孔は閉じる。蓋は角質で薄く,少旋形。<br>分布:日本海中部日本沿岸の兵庫県但馬沖,能登半島沖,佐渡および新潟県沖,水深 121 ~ 326 m。

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