在宅寝たきり高齢者のADL低下予防のためのケアプログラムの効果に関する研究

  • 田高 悦子
    東京大学大学院医学系研究科健康科学・看護学専攻地域看護学分野
  • 金川 克子
    東京大学大学院医学系研究科健康科学・看護学専攻地域看護学分野

書誌事項

タイトル別名
  • An Intervention Study on Effect of Care Program for Prevention to a Decline of ADL of the Bed-Ridden Elderly at Home

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説明

本研究の目的は,在宅寝たきり高齢者の機能の低下を予防するための一方策として,3か月間にわたる座位耐性訓練を中心とするケアプログラムによる介入を実施し,効果を分析することである.対象は在宅寝たきり高齢者82名(介入群41名;対照群41名)である.ベースライン調査後,介入群に対してはケアプログラムを実施し,対照群に対しては標準的な訪問指導を実施して経過を観察した。その結果,1)生理的機能(平均血圧,リーチテスト,筋肉量,握力)ではリーチテストについて両群に差のある傾向を認め,介入群では低下しないのに対し,対照群では低下する傾向が認められた.2)ADLでは,整容,上半身更衣,下半身更衣の各動作およびセルフケア総合得点について両群に有意な差を認め,3か月後のこれらのスコアは介入群のほうが対照群に比して有意に高く,介入群では低下がみられなかったのに対し対照群では有意に低下がみられた.3)コミュニケーションでは,両群に有意な差を認めなかった.4)1日の非臥床時間では両群に有意な差を認め,介入群では減少がみられなかったのに対し,対照群では有意に減少がみられた.また,ADLのセルフケアスコア総合得点の変化と,1日の非臥床時間の変化との間には有意な正の相関を認めた.以上より,在宅の寝たきり高齢者に対する座位耐性訓練を中心としたケアプログラムは,セルフケア動作を中心としたADLの低下予防に対し有効であり,在宅の寝たきり高齢者にあっては移動不能にあってなお,ADL低下予防の見地からは,座位耐性を高め,非臥床時間を維持,拡大してゆくことの重要性が示唆された.

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被引用文献 (1)*注記

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