河川敷における帰化植物オオブタクサ(Ambrosia trifida L.)の生育に対する人為的撹乱と環境条件の効果

書誌事項

タイトル別名
  • The effects of human-induced disturbance and environmental conditions on the growth and development of an exotic annual, Ambrosia trifida L., in riverside vegetation
  • カセンシキ ニ オケル キカ ショクブツ オオブタクサ Ambrosia trifida L ノ セイイク ニ タイスル ジンイテキ カクラン ト カンキョウ ジョウケン ノ コウカ

この論文をさがす

抄録

甲府盆地を流れる重川の河川敷では、近年外来一年生草本であるオオブタクサのヨシ-オギ群落への侵入が顕著になってきた。重川では毎冬、河川敷植生の火入れが行われ、周辺の果樹園からの栄養塩を多く含む排水が流れ込む。そこでオオブタクサの生育に対する人為的な撹乱と環境条件の効果を明らかにするために、重川の中・下流域において、群落の分布パターンや構造、オオブタクサの成長様式、生育地の微環境などを詳しく調査した。オオブタクサ侵入群落は下流域に偏って分布し、この分布は冬季に行われる火入れの実施区域と高い割合で重なっていた。火入れは河川敷のリターを除去することによって地表付近の光環境を改善するとともに土壌表面温度を上昇させ、これによってオオブタクサの発芽・成長を促進すると推察された。オオブタクサが侵入したヨシ-オギ群落の群落構造と微環境要因について正準対応分析を行ったところ、在来種の分布は主に土壌の水分条件に依存するが、オオブタクサの分布と環境条件との関係は低いことがわかった。オオブタクサは優占種のヨシとオギの生育地の中間において有意に高く成長することから、種間関係がオオブタクサの生育にとって重要であることが示唆された。火入れ後に発芽し成長したオオブタクサ実生のうち、一部は多年草群落のギャップで優占するが、多くは地下の栄養分を使って急速に成長する多年草からの厳しい競争によって被圧される。したがって河川工事などによる多年草の地下茎の破壊は、オオブタクサの侵入を促進するであろう。

収録刊行物

被引用文献 (2)*注記

もっと見る

参考文献 (19)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ