くぼみ症の発生を助長するニンニクの収穫後処理条件

  • 山崎 博子
    独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 東北農業研究センター
  • 庭田 英子
    青森県産業技術センター野菜研究所
  • 伊藤 篤史
    青森県産業技術センター野菜研究所
  • 上町 達也
    滋賀県立大学環境科学部
  • 石田 信昭
    石川県立大学生物資源環境学部
  • 矢野 孝喜
    独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 東北農業研究センター
  • 長菅 香織
    独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 東北農業研究センター
  • 稲本 勝彦
    独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 東北農業研究センター

書誌事項

タイトル別名
  • Postharvest Conditions Inducing the Occurrence of Concavities on Scales of Garlic Bulbs
  • クボミ ショウ ノ ハッセイ オ ジョチョウ スル ニンニク ノ シュウカク アトショリ ジョウケン

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抄録

ニンニクの周年出荷にはりん茎収穫後の乾燥と長期間の貯蔵が必要である.本研究では長期貯蔵したニンニクにみられる,りん片表面が陥没する障害「くぼみ症」の発生条件を明らかにするため,‘福地ホワイト’りん茎の乾燥および貯蔵条件がくぼみ症の発生に及ぼす影響を調査した.収穫後,終日通風,昼間約34°C加温,夜間無加温の条件で乾燥(以下,テンパリング乾燥)したりん茎を異なる温度(-3°C,-2°C,-1°C)および湿度(標準,低湿)を組み合わせた条件で最長約10か月間貯蔵した.くぼみ症は-3°C貯蔵では発生したが,-2°C以上の貯蔵では湿度条件に関わらずほとんど発生しなかった.収穫後,テンパリング乾燥および33°C一定条件で乾燥したりん茎を-3°C,-2°C,0°Cで最長約8か月間貯蔵した.テンパリング乾燥中の平均温度は30°C前後であった.くぼみ症は33°C乾燥したりん茎ではいずれの貯蔵温度でも発生したが,テンパリング乾燥したりん茎では-2°C以上の貯蔵ではほとんど発生しなかった.くぼみ症は33°C乾燥後に-2°C以下で貯蔵した場合に特に激しく発生した.これらの結果から,高温での乾燥および低温での貯蔵はくぼみ症の発生を助長する要因と考えられた.現在,青森県においてニンニクの周年出荷のために行われている-2°C貯蔵では,乾燥条件がくぼみ症の発生に大きく影響することが示された.テンパリング乾燥は高品質なニンニクを周年出荷するため-2°C貯蔵と組み合わせる乾燥法として有望と考えられた.

収録刊行物

  • 園芸学研究

    園芸学研究 13 (2), 169-176, 2014

    一般社団法人 園芸学会

被引用文献 (2)*注記

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参考文献 (1)*注記

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