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- 大野 仁嗣
- 天理よろづ相談所病院 血液内科
書誌事項
- タイトル別名
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- Malignant lymphoma involving the central nervous system
- チュウスウ シンケイ アクセイ リンパシュ
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説明
原発性中枢神経リンパ腫(PCNSL)は,病変が中枢神経に発生・限局し,他の臓器には病変を認めないものと定義されるであろう.大半の症例はびまん性大細胞型B細胞リンパ腫の病理形態を示す.巣症状,精神神経症状,脳圧亢進症状,痙攣などで発症し,病変は脳室周囲に生じることが多い.MRI画像では,T1強調画像で等~低信号,T2強調画像で等~軽度高信号,造影によって強い増強効果を示す.PCNSLの初期治療は高用量メソトレキセート(HD-MTX)を含む化学療法である.化学療法に引き続いて40ないし45グレイの全脳照射を追加する.これらの化学・放射線治療による完全奏効率は30ないし87%,5年生存率は22ないし70%であるが,最も重篤な毒性は遅延性の神経毒性である.特に高齢者では認知機能が進行性に低下する.当院では直近の3年間に10例のPCNSL症例を診療した.HD-MTXを含む強力な化学療法,Ommayaリザーバーによる抗腫瘍剤の脳室内投与,自家造血幹細胞移植を併用した高用量化学療法,および全脳照射などの治療を行ったが,2年以上の長期生存者は1例に過ぎない.一方,悪性リンパ腫は,神経系のあらゆるレベルに浸潤・再発する.中枢神経再発のなかでは髄膜播種の頻度が最も高く,脳神経麻痺で発症することが多い.悪性リンパ腫の中枢神経再発にはPCNSLと類似の治療戦略を必要とするが,全身播種に対する治療も必要である.中枢神経再発後の生存期間中央値は2ないし5か月に過ぎないので,中枢神経再発リスクの高い症例には,初期治療に中枢神経再発予防を組み入れる必要がある.
収録刊行物
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- Tenri Medical Bulletin
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Tenri Medical Bulletin 17 (2), 97-109, 2014
公益財団法人 天理よろづ相談所 医学研究所
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390001205218962432
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- NII論文ID
- 130004940438
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- NII書誌ID
- AA11350134
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- ISSN
- 21872244
- 13441817
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- NDL書誌ID
- 027534636
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- NDLサーチ
- Crossref
- CiNii Articles
- OpenAIRE
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可