羽根の小羽枝構造によるガン類ハクチョウ類カモ類の識別について

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タイトル別名
  • Identification of Geese, Swans and Ducks by the Barbule Structure of Feathers
  • ハネ ノ ショウウ シ コウゾウ ニ ヨル ガンルイ ハクチョウルイ カモルイ ノ シキベツ ニ ツイテ

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抄録

羽根の小羽枝に見られる三角形の節から,カモ目のガン類,ハクチョウ類,カモ類を識別するために,日本産のガン類6種,ハクチョウ類1種,カモ類23種の計30種と,家禽類のシナガチョウとアヒルの羽根を収集した。それぞれの羽根について,1本の小羽枝の中での三角形の節の位置,節の幅,節のある小羽枝が見られる身体の部位について調査した。その結果,節の位置については,ガン類,ハクチョウ類,カモ類の間で違いが確認された。節の幅については,カモ類が他のグループに比べて顕著に大きかった。ガン類とハクチョウ類の間にも節の大きさに有意差が見られたが,識別に利用できるような顕著な違いではなかった。ただし,ハクチョウ類はカモ類,ガン類と比べて小羽枝の長さが短いと推測されたため,節の位置と幅の識別点に小羽枝の長さの違いを加えれば,ガン類,ハクチョウ類,カモ類は識別可能と思われた。部位については,体羽では嘴の周りの小さな羽,翼では初列風切で三角形の節が欠如していたほか,多くの種で翼上下面の初列雨覆,小翼羽,そして腋羽においても三角形の節を確認することができなかった。その他の部位では三角形の節が見られたが,次列風切や三列風切,翼上下面の大雨覆,脂腺の周りでは,節の数が少ない場合や欠如している小羽枝も見られた。また,雛の体羽からは,この節構造は確認できなかった。各グループの識別は,体羽や翼上下面の小・中雨覆,肩羽のように三角形の節が安定して見られる部位であれば,どの部位でも可能と思われた。また,ガン類,カモ類の特徴は,家禽類であるシナガチョウとアヒルにおいても同様に確認された。

収録刊行物

  • 山階鳥類学雑誌

    山階鳥類学雑誌 41 (2), 171-183, 2010

    公益財団法人 山階鳥類研究所

参考文献 (8)*注記

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