勤労女性における下肢のむくみと疲労に関する研究 : アンケート調査および心理計測から

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タイトル別名
  • A psychological study about swelling and fatigue on lower limbs in working females : An investigation by questionnaire and psychological measurement

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説明

下肢の細胞外液貯留における不快感は女性の代表的な愁訴の1つであり,むくみと呼ばれている.むくみは筋ポンプ運動による改善が勧められていることから,筋疲労との関連が考えられるが,その詳細については明らかになっていない.そこで,下肢におけるむくみと疲労の関連性を明らかにするために,化粧品販売職の女性182名にアンケート調査を行い,153名から有効回答を得た.その結果,下肢の疲れを94%,むくみを90%の回答者が感じており,疲れとむくみの意識は重なる部分が多く,下肢組織外液貯留の心理的評価には疲労の項目が必要であると考えられた.また,疲れ,むくみ感覚が最も多かった部位はふくらはぎであり,疲れで78%,むくみで85%の回答者が感じていた.また,むくみの不快感の原因を67%が大きさ,疲労の不快感の原因は66%が痛みという言葉でそれぞれ特徴的に表現していた.これらの結果をもとに心理的な疲れとむくみを評価するVAS主観評価調査表20項目を作成した.作成したVAS(visual analogue scale)主観評価調査表を用いて立ち仕事およびデスクワークの勤労女性19名を評価した.測定は就労前の午前9時から10時までの朝方と,就労後の午後4時から5時までの夕方に実施し,就労前後および立位と座位の勤労姿勢を比較した.全被験者19名の就労前後のVAS主観評価の結果は,20項目中16項目で不快感が有意に増加した.就労姿勢別の解析では,デスクワーク群9名に比して立ち仕事群10名の就労前後の不快感上昇が,足首周囲長,ふくらはぎ周囲長,下肢の重さ,ふくらはぎの痛み,足首の痛み,土踏まずの痛みの7項目で有意に増加していた.アンケート調査を手がかりに作成したVAS主観評価調査表は組織外液貯留の下肢不快感を実際の労働条件において評価することができた.

収録刊行物

  • 女性心身医学

    女性心身医学 15 (1), 175-182, 2010

    一般社団法人 日本女性心身医学会

被引用文献 (3)*注記

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