高次脳機能障害のリハビリテーションとNear-infrared Spectroscopy

書誌事項

タイトル別名
  • Near-infrared Spectroscopy for Cognitive Dysfunction Rehabilitation
  • シンポジウム 高次脳機能障害のリハビリテーションとNear-infrared Spectroscopy
  • シンポジウム コウジ ノウ キノウ ショウガイ ノ リハビリテーション ト Near-infrared Spectroscopy

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抄録

高次脳機能障害のリハビリテーションにおける訓練課題となる可能性のある課題に心的回転課題がある。図形の心的回転課題は、立体を2 次元に投影した一対の図形を異なった回転角度で呈示し、その2 つの図形の同異を判断させる課題である。手の心的回転課題は、手の写真や線画を様々な回転角度で呈示し、その提示された手が左手か右手かを判断させる課題である。われわれは、NIRS を用いて図形の心的回転課題遂行時の脳機能を検討し、健常右手利き者は前頭葉、頭頂葉ともに右大脳半球優位を示し、左手利き者は前頭葉、頭頂葉ともに、わずかな左大脳半球優位を示すことを明らかにした。また、脳血管障害片麻痺患者と健常者を対象として、手の心的回転課題遂行時の脳機能についても検討し、全対象者に課題依存的な酸素化ヘモグロビン濃度長変化の一過性の増加が、前頭葉、頭頂葉の広い範囲でみられることを示した。手の心的回転課題遂行時に被験者は自身の手の運動をイメージしている可能性があることを利用して、複合性局所疼痛症候群や幻視痛による疼痛軽減に用いる試みが報告されており、また失行患者や半側無視患者ではこの課題の正答率が低いことが報告されている。手の心的回転課題は、脳損傷者にとって取り組みやすい課題であるため、そのリハビリテーションへの臨床応用の可能性がある。今後、本課題に関する基礎的研究を進めながら、臨床応用の可能性を探っていきたい。

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