脳の基本構造

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タイトル別名
  • Basic structures of the brain
  • 教育講演 脳の基本構造
  • キョウイク コウエン ノウ ノ キホン コウゾウ

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抄録

正常脳を知ることは、その異常を知るための手がかり、足がかりである。大脳回の配置は複雑に見えるが、概念的には単純である。左大脳半球を側面から見た図を描く場合、Sylvius裂の後端から書き始めて脳の外縁を書き、前後端のほぼ中央で中心溝、中心前回、中心後回を書く。中心前溝より前方の前頭葉を3 分割して脳回を前後に平行して走る形で書き、側頭葉にも同様に3 つの脳回を書く。Sylvius裂後端を囲むのが縁上回、第一側頭溝後端を囲むのが角回である。頭頂葉と後頭葉の間には頭頂後頭溝が、後頭葉極には鳥距溝がいずれも僅かに顔を出す。正常脳では、中心前回皮質は中心後回皮質よりも約1. 5倍厚い。脳の前額断で視床下核を捉えるには、乳頭体後端の少し後で鉛直に割を入れるとよい。正常脳前額断では、内包前脚は軽く内方に凸を成すが、被殻萎縮では逆に軽く凹に成る。前額断では乳頭体と海馬足上縁は同じ高さに有るが、中心ヘルニアが生じると乳頭体が下方に大きく押し下げられる。脳室は脳表に掘られた溝であり、第三脳室と側脳室はT 字型の溝である。脳室上衣が溝の側壁と底を構成し、脈絡叢が溝の蓋を成す。脳表と、脳実質内の血管周囲腔に面する脳表面にはastrocytic endfeet とその基底膜で構成されるグリア限界膜があり、脳外からの細胞浸潤に対して強力なバリアを成している。

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