運動慣熟過程における機能分化の画像化

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  • ウンドウ カンジュク カテイ ニ オケル キノウ ブンカ ノ ガゾウカ

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説明

不慣れな運動課題に取り組む状態と、複数回繰り返して慣熟した状態とでは、脳賦活部位が異なると云う作業仮説に基づいて、若年健常成人を対象に鏡像追跡課題を用いた脳賦活脳循環測定を行った。鏡像追跡課題は、テレビ画面上に提示された六角形の星型帯に沿って、左手でジョイスティックを操作してカーソルを反時計方向にできるだけ速く移動させると云う視覚運動課題で、同じ課題(正像追跡)を10回終了した時点で、突然ジョイスティックの動きが逆方向(鏡像追跡)に変わり、その状態でさらに15回課題を行った。動作面での評価としてカーソルの周回数、誤操作数などを定量的に測定して、脳血流画像と比較した。鏡像追跡に切り替わった直後には、被検者は状況の変化に当惑し、周回数はぜロに近づき、誤操作は数百回に上昇した。脳循環測定では、右前頭前野(BA8)、右補足運動野(BA6)、両側の頭頂小葉(BA40)、右側頭葉(BA20,21)、前部帯状回(BA32)、左小脳半球などの脳部位が賦活された。その後15回同じ課題を続けることによって、動作面では周回数は飛躍的に増加し、誤操作も著しく減少した。脳画像では、一次運動野(BA4)、舌状回(BAl7,18)、梗状部(BA17,18)、前模状部(BA7,31)、および後部帯状回(BA23,29,31)を含む後頭葉、左小脳半球が賦活された。すなわち、運動の慣熟度に応じて動員される脳部位の切り替えが起こること、すなわち脳の可塑性を再確認するものであった。

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