アルツハイマー病の認知機能:実行機能障害をめぐって

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  • アルツハイマービョウ ノ ニンチ キノウ ジッコウ キノウ ショウガイ オ メグッテ

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Alzheimer病(AD)では早期から実行機能障害がみられることが最近注目されている。筆者らは代表的実行機能検査であるWisconsin Card Sorting Test(WCST)を用いて、ADとmild cognitiveimpairment(MCI)における実行機能障害の特徴を検討した。WCSTの成績は因子分析により保続、非保続エラー、セット維持障害、の3成分に集約された。MCIでは保続と非保続エラーの増加、ADでは保続の増加と非保続エラーの減少がみられ、両者のWCST障害は性質を異にしていた。さらに、WCSTの保続エラーを「stuck-in-set型」と「再帰型」に区別して脳血流との関係を検討すると、stuck-in-set型保続だけが前頭前野の機能低下と関連していた。これをふまえてWCST成績を再検討すると、ADではstuck-in-set型保続エラーの増加と非保続エラーの減少がみられ、これはADにおけるset-shifting障害を示すと思われる。MCIでは再帰型保続と非保続エラーが増加しており、これは前頭前野障害ではなく、海馬や下頭頂葉の機能障害に関連したworking memory容量低下に由来すると推察された。

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