ADHD児を対象としたSCP訓練効果の検証

  • 髙橋 純一
    福島大学人間発達文化学類 国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所
  • 安村 明
    国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所
  • 中川 栄二
    国立精神・神経医療研究センター病院小児神経科
  • 稲垣 真澄
    国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所

書誌事項

タイトル別名
  • Slow cortical potential training in Japanese children with attention-deficit/hyperactivity disorder
  • ADHDジ オ タイショウ ト シタ SCP クンレン コウカ ノ ケンショウ

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説明

<p>【要旨】ADHD児に対する新規治療法としてニューロフィードバック (NF) 訓練の中でSCP (slow cortical potential) 訓練を中心に研究紹介を行なった。ADHD児10名のSCP訓練の有効性の検証を行ない、そのうち9名 (ERP指標では8名) が最終的な分析対象となった。訓練前後における神経生理学的指標として、事象関連電位 (ERP) 指標では注意の持続能力に関するCNV振幅を用いた。行動指標では、ADHD傾向を測定できるSNAP-Jが保護者によって評定された。脳波 (EEG) 指標では、SCP訓練におけるセッションごとの陰性方向および陽性方向のEEG振幅の変化を分析した。ERP指標の結果から、SCP訓練前後でCNV振幅の有意な上昇が見られた。一方、行動指標では、SCP訓練前後の評定得点に関する変化は見られなかった。SCP訓練中のEEG振幅については、セッションを経るにつれて陰性方向および陽性方向のEEG振幅の上昇が見られた。CNV振幅は注意の持続を反映することから、SCP訓練によって、対象児の注意の持続に関する能力が上昇したと推測した。以上から、本研究で実施したADHD児へのSCP訓練は一定の効果があったと考えた。また、SCP訓練中のEEG振幅が変容したことから、SCP訓練前後のCNV振幅の変化と訓練中のEEG振幅の上昇との間に何らかの関連が示唆された。</p>

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