ウィリアムズ症候群のコミュニケーションの異質性

  • 中村 みほ
    愛知県心身障害者コロニー 発達障害研究所

書誌事項

タイトル別名
  • Characteristics of communication in patients with Williams syndrome
  • ウィリアムズ ショウコウグン ノ コミュニケーション ノ イシツセイ

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説明

<p>【要旨】ウィリアムズ症候群(WS)は認知機能の分野ごとのばらつきが大であり、特に、視空間認知障害が強いこと、過度の馴れ馴れしさとも表現される社会性の認知の偏移を示すことなどの特徴を持つ。言語表出は比較的得意とされているものの、初期の言語獲得は一般に遅れる。</p><p>今回、WS患児の社会性の認知発達と日本語語彙の獲得についての縦断的な観察により、以下2点を報告する。</p><p>Mundyらによるearly social communication scales (1996 ver.)及びSeibert ら(Seibert et al. Infant Mental Health J3, 244-58)の報告を参考に改変した指標(ESCS modified)を用いて言語表出開始前後の社会性の発達を1名のWS患児について縦断的に検討したところ、他の領域に比して特に共同注意(joint attention)の発達が遅れていた。マッカーサー言語発達質問紙(語と身振り版)による表出語彙数は共同注意の発達に付随して増加が認められた。これらより、WS患児の日本語表出においても定型発達と同様共同注意の重要性が示唆された。</p><p>マッカーサー言語発達質問紙(語と文法版)を用いて、認知領域ごとの言語発達を定型発達のそれと36カ月の言語表出レベルで比較した。7名のWS群においては位置と場所、時間を示す言葉の日本語語彙獲得が定型発達に比して遅れ、日本語においても欧米言語による報告と同様、語彙獲得にWSの認知特性が反映される可能性が示唆された。</p>

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