地域絶滅の危惧される関東地方のヒメコマツの遺伝的多様性と交配様式

  • 礒辺 山河
    宇都宮大学大学院農学研究科森林科学専攻 千葉県南部林業事務所
  • 逢沢 峰昭
    宇都宮大学農学部森林科学科
  • 久本 洋子
    東京大学大学院農学生命科学研究科附属演習林千葉演習林
  • 軽込 勉
    東京大学大学院農学生命科学研究科附属演習林千葉演習林
  • 齋藤 央嗣
    神奈川県自然環境保全センター
  • 中山 ちさ
    宇都宮大学大学院農学研究科森林科学専攻 群馬県林業試験場
  • 遠藤 良太
    千葉県農林総合研究センター森林研究所
  • 後藤 晋
    東京大学大学院農学生命科学研究科附属演習林教育研究センター
  • 大久保 達弘
    宇都宮大学農学部森林科学科

書誌事項

タイトル別名
  • Genetic Diversity and Mating System of Regionally Endangered <i>Pinus parviflora</i> var. <i>parviflora</i> Populations in the Kanto District, Japan
  • チイキ ゼツメツ ノ キグ サレル カントウ チホウ ノ ヒメコマツ ノ イデンテキ タヨウセイ ト コウハイ ヨウシキ

この論文をさがす

説明

関東地方のヒメコマツの中には,近年の急激な個体数の減少や生育地の分断化により地域絶滅の危惧される集団が少なくない。本研究では,関東地方のヒメコマツの絶滅危惧集団(房総,丹沢および花園)と健全集団(庚申山)の遺伝的多様性と交配様式を明らかにすることを目的とした。核DNAのマイクロサテライトマーカー4遺伝子座を用いて,合計100個体のヒメコマツ成木と184個体の稚樹の遺伝子型を決定し,各集団の遺伝的多様性および自殖由来の稚樹割合の推定を行った。また,各個体のヘテロ接合遺伝子座の割合(MLH)を調べた。房総と丹沢の成木の遺伝的多様性は健全集団と同程度であったが,絶滅危惧集団の自殖由来の稚樹割合は34.2~65.5%で,健全集団(15.1%)と比較して高かった。また,4集団ともMLHの低い個体は,樹齢5年生未満の稚樹で多く,成長とともに減少する傾向がみられた。さらに,絶滅危惧集団の有効な花粉親数は健全集団に比べて低かった。以上から,絶滅危惧集団の成木の遺伝的多様性は概ね保持されているものの,成木数の減少により自殖が増加しており,近交弱勢によって自殖由来の稚樹が減少している可能性が示唆された。

収録刊行物

参考文献 (45)*注記

もっと見る

関連プロジェクト

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ