イングランドにおける医療と福祉の財政的連携・統合に関する考察

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タイトル別名
  • A Comparative Study on Joint Finance and Pooled Budget between Health and Social Care in England
  • イングランドにおける医療と福祉の財政的連携・統合に関する考察--共同財政とプール予算の比較を通して
  • イングランド ニ オケル イリョウ ト フクシ ノ ザイセイテキ レンケイ トウゴウ ニ カンスル コウサツ キョウドウ ザイセイ ト プール ヨサン ノ ヒカク オ トオシテ
  • 共同財政とプール予算の比較を通して

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抄録

英国(本稿ではイングランド)では、高齢者人口の増加とその関連コストの増大に伴って、医療と福祉の連携・統合への関心が高まっている。国の医療制度と自治体福祉との分断状況は構造的な隘路をもたらしており、第一線での協働に影響を及ぼしている。本稿は、1976年に創設された共同財政と2000年に創設されたプール予算の仕組みとその制度的な背景を比較している。共同財政は当初規模も小さく試行的な性格を持ち、資金の運用は保健局がイニシャティブを握っていた。また長期療養ベッドを減らす条件の下で、コミュニティ・サービスの財源に活用されていた。その後交付条件が緩和されたことを契機にして、共同財政は膨らみ、公共支出抑制の時代に自治体福祉の予算を下支えする役割を果たした。一方、プール予算は国が強力に進めるパートナーシップ政策の下で創設されたもので、順調に実施されている。他のプール予算の運用と比較しても、医療と福祉では問題の発生件数は少ない。ただし、医療と福祉の関係者の間では緊張関係が依然として続いており、また利用者負担の相違も問題になっている。プール予算の成果は今後の推移をみなければならないが、傾向として医療サイドの働きかけが強い。本稿は、主に歴史的な経緯と国-地方関係の考察を通して、医療と福祉の財政的連携・統合の動きを論述している。

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