局在性脳損傷とびまん性軸索損傷の併発の可能性について

  • 張 月琳
    首都大学東京大学院システムデザイン研究科
  • 青村 茂
    首都大学東京大学院システムデザイン研究科
  • 中楯 浩康
    首都大学東京大学院システムデザイン研究科
  • 藤原 敏
    横浜市立大学大学院医学研究科

書誌事項

タイトル別名
  • Study on the possibility of concurrence of focal brain injury and diffuse axonal injury
  • キョクザイセイ ノウ ソンショウトビマンセイジクサクソンショウ ノ ヘイハツ ノ カノウセイ ニ ツイテ

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抄録

頭部が外部衝撃を受けた際には局在性脳損傷,或は脳震盪やびまん性軸索損傷(DAI)等が発症する。局在性脳損傷は脳表面の局部的なひずみや急激な圧力変動により引き起こされ,DAI等は脳の広範囲に発生するせん断応力により引き起こされる。局在性脳損傷は出血など明白な損傷形態を有することが多いのに対し,特にDAIでは死に至ることもあるが,受傷痕跡は病理解剖においても発見が極めて困難である。現状,もし局在性脳損傷とDAIが併発しても,明白な損傷形態を有する局在性脳損傷の陰に隠れ,見過ごされている可能性がある。本研究では,頭蓋内の力学的挙動をコンピュータにより計算することができる頭部有限要素モデルを構築し様々な衝撃を与え,局在性脳損傷とDAIの発症条件を統一した力学的指標である頭部重心に発生した平均加速度とその持続時間を用いて評価し,両損傷の併発の可能性を検証した。司法解剖例をコンピュータシミュレーションにより再現した結果,局在性脳損傷が死因と判断された場合でもDAIが併発している可能性が高いことを示した。

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参考文献 (15)*注記

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