iPS細胞を用いる移植医療研究の現状と課題

DOI Web Site 参考文献24件 オープンアクセス
  • 青井 貴之
    神戸大学大学院医学研究科内科系講座iPS細胞応用医学分野

書誌事項

タイトル別名
  • Researches for iPS Cell-based Transplantation : Current Status and Issues

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説明

<p> 人工多能性幹 (induced Pluripotent Stem : iPS) 細胞は, 体細胞に少数の因子を導入し, 特定の環境下で培養することで得られる多能性幹細胞株である. iPS細胞は, ①生体を構成するさまざまな細胞に分化することができる能力 (分化多能性) と, ②①の性質を保ちながら無限に増殖することができる能力 (自己複製能) を有している. 加えて, ③iPS細胞はさまざまな患者あるいは健常者など, 個性が判明している個人からの樹立が可能であり, ④ある個体を構成するさまざまな特定の細胞から樹立することが可能である. これらのことから, iPS細胞は創薬や病態研究, そして, 細胞移植医療へ応用することが期待されている.</p><p> iPS細胞の応用を推進するためには, 研究機関において行われる実験などのみならず, 予算措置や規制改革, 倫理的問題への対応, 強力なチームづくりなどが必要であるが, このすべてにわたってわが国では総合的施策がなされており, 着実な成果を挙げている. 実際, いくつもの有望なプロジェクトが具体的タイムテーブルの上で進行している. また, iPS細胞の真の実用化のためには産業化も必須の要素である. 現実的なビジネスモデルをいかに構築していくかが現時点での最重要課題の1つであり, それを解決するための適切な方策策定とその実行がなされなければならない.</p>

収録刊行物

  • 脊髄外科

    脊髄外科 28 (3), 252-257, 2014

    日本脊髄外科学会

参考文献 (24)*注記

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