20年以上経過観察した肝血管腫の腫瘍径の変化

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タイトル別名
  • Change in Size of Hepatic Hemangiomas During Observation of More than 20 Years
  • 20ネン イジョウ ケイカ カンサツ シタ カン ケッカン シュ ノ シュヨウケイ ノ ヘンカ

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抄録

目的:肝血管腫は腹部超音波検査で発見される比較的頻度の高い病変である.多くの報告では大きさは変化せず,無症状なため通常は治療の対象にはならないとされている.そのため肝血管腫と診断された場合,経過観察されることは少なく,これまでの報告も数年以内の観察であり長期の経過観察の報告は少ない.しかし,増大や縮小を疑う例,まれには巨大例や破裂例を経験することがあり,実態は不明な点が多い.そこで,当院の人間ドックの超音波検査で長期に経過観察されている肝血管腫の腫瘍径の変化について検討した.<br>方法:対象は虎の門病院付属健康管理センターの人間ドック受診者のうち,腹部超音波検査で肝血管腫と診断され,20年以上の経過を確認できた16例とした.静止画像を見直して同一と確定できない病変は除外した.腫瘍径の変化については,初回の腫瘍径と最終の腫瘍径の差から変化率を求めて評価した.<br>結果:対象16例の観察期間は240ヵ月から303ヵ月(平均±標準偏差 263.4±22.4ヵ月)であった.変化率は-45.5%から+225.0%で,平均+47.4%(95%CI -0.8-+95.6%)であった.腫瘍径の変化率が+の変化であったのは10例(62.5%)で,-の変化であったのは6例(37.5%)であった.また,変化率が+200%すなわち3倍以上に増大している例を3例(18.8%)認めた.<br>結論:肝血管腫のなかには,長期に観察すると腫瘍径に増大を認める症例が少なからず存在するため,定期的経過観察は有意義と考えられる.<br><br><br>

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