乳酸脱水素酵素(LDH)の著明な上昇と乳酸アシドーシスを生じ,頻呼吸をきたした前立腺癌末期の1例

  • 村瀨 樹太郎
    川崎市立井田病院 かわさき総合ケアセンター 緩和ケア内科
  • 宮森 正
    川崎市立井田病院 かわさき総合ケアセンター 緩和ケア内科
  • 西 智弘
    川崎市立井田病院 かわさき総合ケアセンター 緩和ケア内科
  • 小栁 純子
    川崎市立井田病院 かわさき総合ケアセンター 緩和ケア内科
  • 佐藤 将之
    川崎市立井田病院 かわさき総合ケアセンター 緩和ケア内科
  • 山岸 正
    川崎市立井田病院 かわさき総合ケアセンター 緩和ケア内科

書誌事項

タイトル別名
  • Marked lactate dehydrogenase elevation and tachypnea due to lactic acidosis in a patient with terminal stage prostate cancer: the first report in Japan

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説明

【緒言】前立腺癌による乳酸アシドーシスの報告は1例のみで本邦での報告はない.われわれは前立腺癌末期に著明な乳酸脱水素酵素(Lactate Dehydrogenase;LDH)の上昇と乳酸アシドーシスを生じた症例を経験した.【症例】66歳男性.前立腺癌,骨・肝転移.化学療法・ホルモン療法後.緩和ケア中心に在宅療養していた.嘔気・食欲不振のため入院し,LDH 11,894 IU/L(LDH4 23%, LDH5 32%)と著明な上昇を認めた.入院後に頻呼吸が出現し,血液ガスでpH 7.402, pCO2 13.2 mmHg, HCO3− 8.0 mmol/L, Lac 10.0 mmol/Lと乳酸アシドーシスと診断した.【考察】LDH(とくにLDH5)の著明な上昇は腫瘍細胞からの嫌気的解糖系の亢進を示し,乳酸蓄積と乳酸アシドーシスに至ったのではないかと推測した.その結果,乳酸アシドーシスの症状として嘔気・頻呼吸が生じたと考えられた.

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参考文献 (9)*注記

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