牛の逃走距離とハンドリング時の生理的・行動的反応との関係

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タイトル別名
  • The relationships between flight distance and the physiological and behavioral responses in cows during handling

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抄録

本研究では、人と動物の関係の評価指標に使用されている逃走距離(以下FD)について、ハンドリング時の牛の生理反応および行動反応との関係を明らかにすることを目的とした。はじめに16頭の黒毛和種繁殖牛についてFDを測定し、FDの長い方と短い方からそれぞれ4頭ずつ選抜した(それぞれLFDとSFD)。各牛のFD測定の1週間後、ハンドリングテストを実施した。ハンドリングテストは牛を繋留して行い、FD測定時と同じ観察者が供試牛に対してブラッシングを5分間行った。ハンドリング前、中、後(それぞれ5分ずつ)の3期間における各牛の行動反応(発声・尾振り・頭振り・足踏み)および心拍数を記録し、各時間帯の行動反応出現頻度および平均心拍数、ハンドリング前の平均心拍レベル以上にあるハンドリング中の心拍数の割合(PHR)、ハンドリング中の心拍数のピーク値を記録した時点からハンドリング前の平均心拍レベルまでの回復時間(RT)を算出し、LFDとSFD間で比較した。各行動反応は、LFDとSFD間で差は認められなかった。しかし、全時間を通した平均心拍数とPHRは、LFDにおいてSFDよりも高く(それぞれ、P<0.05,P=0.05)、RTについてもLFDでSFDよりも長い傾向が認められた(P=0.07)。以上の結果から、逃走距離は、ストレス刺激に対する動物の生理的反応特性と強い関連性があることが示唆された。

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参考文献 (14)*注記

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