日本産野鳥8例の飼育実験による色選好性試験

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タイトル別名
  • An attempt to investigate color preference using eight cases of captive Japanese wild birds

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抄録

野性鳥類による食物や人工物への被害を防ぐ方法として、防鳥資材の活用がある。色は防鳥効果を持つ視覚的なシグナルとして知られるが、実際にどの色が回避されやすいのかを多種について調査した例は日本にない。本飼育実験では、日本国内に生息するスズメ(Passer montanus)、キジバト(Streptopelia orientalis)、コジュケイ(Bambusicola thoracica)、ツグミ(Turdus naumanni)、ヒヨドリ(Hypsipetes amaurotis)、ハッカチョウ(Acridotheres cristatellus)、オナガ(Cyanopica cyana)、トビ(Milvus migrans)の計8種について各色の選好性を調査したところ、一貫性のある所見を得た。色の選択肢は赤、黄、緑、青の4色とし、これらの色の蓋によって覆われた4つの餌入れを同時に提示し選択させることで実験を行った。実験開始時の最初の選択において、黄および青を選択した個体はなかった。また、黄は全個体において回避される傾向にあり、青も多くの個体において回避された。一方で、多くの個体が赤と緑に対し選好傾向を示した。この結果、黄・緑間では選好性に有意差が見られた。本結果は、黄は防鳥効果が高く青も比較的鳥害予防に活用しやすいと考えられるが、赤と緑は防鳥効果があまり高くない可能性を示唆している。防鳥効果の高い色をより効果的に且つ長期に亘って活用するためには、これを単独で用いるだけでなく、化学忌避剤や威嚇による追い払いといった他の忌避刺激と組み合わせる研究が有効であると考えられる。

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