イリアンジァヤ中央高地におけるDelias属(鱗翅目,シロチョウ科)の吸水行動の観察

書誌事項

タイトル別名
  • Observations on the "puddling behavior" of Delias species (Lepidoptera, Pieridae) in the central highlands of Irian Jaya
  • イリアンジァヤ中央高地におけるDelias属(鱗翅目,シロチョウ科)の吸水行動の観察〔英文〕
  • イリアンジァヤ チュウオウ コウチ ニ オケル Deliasゾク リンシモク

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説明

1991年4月27-29日, Delias属の分類学的研究のためイリアンジァヤ中央高地(Baliem Valley)を訪れた際, Delias属の吸水行動を観察する機会を得た.そこで,一定の時間間隔で吸水行動を行った種類とその延べ個体数を調査し,その結果をTable 2に示した. D. arabuanaはこの地では初記録である. 9:00a.m.にまずD. toxopeiが飛翔を始め,次いで種々のDelias属のチョウが飛翔を始めた. 10:00a.m.頃から,それらは緩やかな飛翔となり,円を描きながら徐々に降りたった. 1時間以上着地と穏やかな飛翔を繰り返し, 11:30a.m.頃から着地したままじっと動かず,翅を静止させ,吸水に集中する状態となった. 0:30pm.以降は,集中から開放され飛翔と着地を繰り返すようになり,1:30 p.m.には殆どの個体が飛び去った.吸水は,天候が晴れか薄曇りで,気温が20℃以上の場合にのみ行われた. 1頭のD. catisaを除き,総てが新鮮な♂であった.吸水は総て翅を閉じて行われた.吸水集団は一般に10頭以下の小さいものであったが, Delias属以外の種も含む30頭以上の集団も時折観察された.近縁種D. catisaとD. toxopeiの吸水行動の生態的差異を観察し記録した.また,吸水時に興味深い行動を観察し, "pumping", "bathing", "falling"として記録し,その理由を考察した. Delias属の吸水行動は,ニューギニア島固有のものではないが,今回観察されたDelias属ほぼ全種の,かつ著しい吸水指向性はニューギニア島高地性Delias属の興味深い生態的特徴と考えられた.

収録刊行物

  • 蝶と蛾

    蝶と蛾 44 (3), 89-96, 1993

    日本鱗翅学会

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