関東地方北部におけるチャバネセセリ幼虫の越冬に関する予備的研究

  • 井上 大成
    Department of Forest Entomology, Forestry and Forest Products Research Institute

書誌事項

タイトル別名
  • A preliminary study on the overwintering of Pelopidas mathias (Fabricius) (Lepidoptera, Hesperiidae) in the northern Kanto region, central Japan

この論文をさがす

抄録

2006-2007年にかけての冬に,茨城県つくば市でチャバネセセリの越冬幼虫を観察した.幼虫の密度は,建物の南側の壁に近い草地で高かった.ここではチガヤは冬の間緑色を保っており,幼虫は暖かい日中には活発に活動していた.直射日光の当たる建物の南側の越冬場所では,2月には日最低温度は0℃近くまで下がったが,晴れた日の最高温度は30℃前後にも達した.4月に野外から採集され網室で飼育された幼虫は,4月上旬-5月下旬に蛹化し,5月中旬-6月上旬に羽化した.幼虫は蛹化前に0-3回脱皮した。蛹期間は4月に蛹化した場合には22-35日で,5月に蛹化した場合には16-21日だった.また,野外の壁際の草地に設置したマレーズトラップでは5月中旬に雌成虫1匹が捕獲された.チャバネセセリは北関東の内陸でも,少なくとも暖冬の時には野外越冬していることが明らかになった.

収録刊行物

  • 蝶と蛾

    蝶と蛾 59 (1), 23-28, 2008

    日本鱗翅学会

参考文献 (14)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ