Chilasa agestor kuangtungensis(Mell)とPazala hoenei(Mell),stat.nov.について

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  • Notes on Chilasa agestor and Pazala hoenei, stat. nov. (Lepidoptera, Papilionidae) from South China

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抄録

Chilasa agestor kuangtungensis(Mell)(Figs 1,2) Papilio agestor kuangtungensis Mell,1935,Mitt.dt.ent.Ges.6:36.Chilasa agestor moritai Shinkai,1996,Wallace 2:43-44,figs 5,6.Syn.nov.基産地は広東北部の連平など3地点.本亜種は広西チワン自治区,広東省,福建省,浙江省の中国南部および東部に分布する.現在,アレキサンダーケーニッヒ博物館に保存されているヘーネコレクションのsyntype(ラベルにはparatype?とされていた)を図示する.広西チワン自治区から記載されたChilasa agesto moritai Shinkai,1996はkuangtungensisと全く区別できないのでシノニムとした.Pazala hoenei(Mell),stat.nov.(Figs 3,4)Papilio tamerlanus hoenei Mell,1935,Mitt.dt.ent.Ges.6:36.Pazala sichuanica Koiwaya,1993,Stud.chin.Butterflies 2:77,figs 138,139,144,145,256,263,271,275,284.Syn.nov.アレキサンダーケーニッヒ博物館に保存されるsyntypeの♂を調べたところ,Pazala sichuanica Koiwaya,1993と同じものであることが分かった.Mell(1935)はhoeneiをPapilio tamerlanusの亜種として記載したが,Koiwaya(1993)が扱ったように本タクソンは独立種で,四川省西部ではPazala tamerlanaと同所的に産する場所のあることが知られている.本種では,後翅中室の外側(中室上脈と中室端脈)が黒く縁取られるが,この特徴はよく似たPazala tamerlana,P.incerta,P.timur,P.alebionでは見られない標徴である.基産地は浙江省の西・東天目山と広東省北部.広東省,広西チワン自治区,福建省,浙江省,陜西省,四川省の中国南半分に幅広く分布する.私の観察では広西チワンでは多産していた.南に行くほど個体数が多くなるようだ.地理的変異はない.Papilio tamerlanus hoenei Mell,1935は33頭の標本に基づいて記載され,holotypeもparatypeもあるように書かれているが,どの個体がholotypeなのか本文中では指定されておらず,これらはsyntypesと看做すしかない.ただし,中国東南部にはPazala tamerlanaが分布しないことや,私自身の採集経験からみてこれらが同一種であることはまず違いなく(=複数の種を含むとは考え難く),lectotypeの指定は行わないことにした.

収録刊行物

  • 蝶と蛾

    蝶と蛾 52 (3), 136-138, 2001

    日本鱗翅学会

参考文献 (3)*注記

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