台湾産Boarmiini族の2新種2新亜種とAlcis anmashanensis Sato♀の記載(シャクガ科,エダシャク亜科)

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タイトル別名
  • Two new species and two new subspecies of the Boarmiini from Taiwan, with notes on Alcis anmashanensis Sato (Geometridae, Ennominae)

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抄録

傅建明氏ら(台中県太平市)が鞍馬山の2,000m以上の高山帯で採集されたBoarmiiniを調査し,次の新種,新亜種を認めるとともに,♂のみで記載されたAlcis anmashanensisの♀を見出すことができた.Ramobia anmashana Sato(新種)日本のR.basifuscaria(Leech)ネグロエダシャク,R. mediodivisa Inoueナカジロネグロエダシャクと同様,晩秋(11月)に出現する.中国大陸からWehrli(1943)によって同属と思われるBoarmiaが3種記載されているが,本種とは異なることを確認している.Psilalcis fui Sato(新種)近縁のHeterarmia,Polymixinia,Protoboarmia 3属とPsilalcis属との系統関係については,未解決の問題があるが,広義のPsilalcisの一員として記載した.種小名は採集者の傳建明氏に献名した.Duliophyle agitata taiwana Satoヒロオビエダシャク(新亜種)日本の個体群に比べ,明らかに大型で前翅の白色紋は表裏ともより明瞭に表れる.♂交尾器では,harpeがより長くのび角状のcornutusも長い.現在,中国大陸の個体群は,ssp. angustaria(Leech)として扱われているが,Dr Stuningからの私信によると,独立種の可能性があるという.Cleora leucophaea taiwanensis Satoシロテンエダシャク(新亜種)個体変異のよく見られる種であるが,日本各地の個体群と比較した結果,特に交尾器に安定した差異があるので,台湾の山地に隔離された亜種として記載した.日本の個体群に比べ,一般に淡色で前翅がやや細い.日本の個体群には,通常の個体のほかに,前後翅の中央に黒線が明瞭に発達する型(nigrofasciaria-form)と,前翅が黄色味を帯びる型(yellow-form)が知られているが,本亜種では今のところ前者のみ確認されている.♂交尾器では,harpeが側面の三角状突起をはるかに超えて伸展し,刺状の突起もよく発達する.♀交尾器では,sterigmaの中央が大きく凹み,側方へ幅広く長く伸びる.Alcis anmashanensis Sato鞍馬山(alt.2,350m)で得られた1♂に基づいて記載(Sato,1999)された種で,今回,同地で初めて4♀が得られたので,♀の記載をおこなった.

収録刊行物

  • 蝶と蛾

    蝶と蛾 53 (3), 141-149, 2002

    日本鱗翅学会

被引用文献 (1)*注記

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参考文献 (11)*注記

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