ニューラルネットワークを用いたHRV解析によるうつ病判定

  • 松尾 太郎
    電気通信大学 情報理工学研究科 機械知能システム学専攻
  • 孫 光鎬
    電気通信大学 情報理工学研究科 機械知能システム学専攻
  • 榛葉 俊一
    静岡済世会病院
  • 桐本 哲郎
    電気通信大学 情報理工学研究科 機械知能システム学専攻

説明

<p>心拍変動(HRV)指標は,交感神経および副交感神経活動を定量的に示し,うつ病を客観的に診断するバイオマーカーとして有用である.数字をランダムに発声させる軽い精神負荷状況で,うつ病患者はHRV指標に特有の反応を示すことが知られている.そこで本稿では,ニューラルネットワーク(NN)を用いたHRV指標による客観的なうつ病診断手法を提案する.NNは非線形判別が可能であり,個人差が大きいHRV指標を扱う点で有効である.静岡済生会病院のうつ病患者44名と健常者47名を対象とし,安静期・精神負荷期・回復期のHRV指標および心拍数を計測した.これらの指標をNNの入力とし,出力値から健常者とうつ病患者の判別を行った.NNの教師データとして臨床経験30年以上の精神科専門医の診断結果を用い,誤差逆伝播法による学習を行った.性能評価では,交差検証を用いて,うつ病患者の数だけNNの学習を繰り返し,その都度評価した.この結果から,未学習データに対して約76%の精度でうつ病患者を判別できることがわかった.また,誤判別したうつ病患者のHRV指標をみると,健常者が精神負荷に対して示す反応と類似していることが確認された.したがって,うつ病患者と健常者をより正確に差別化するHRV指標が必要である.今後は,うつ病患者の特徴量を増やすために,精神負荷に加え,副交感神経を刺激する呼吸統制を導入する.</p>

収録刊行物

  • 生体医工学

    生体医工学 55Annual (4PM-Abstract), 353-353, 2017

    公益社団法人 日本生体医工学会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205269884544
  • NII論文ID
    130006077032
  • DOI
    10.11239/jsmbe.55annual.353
  • ISSN
    18814379
    1347443X
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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