強い自己凝集を認めた低力価寒冷凝集素症に対するDTT処理の有用性

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  • DTT TREATMENT FOR STRONG AUTOAGGLUTINATION OBSERVED IN A PATIENT WITH LOW-TITER CAD

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説明

<p>低力価寒冷凝集素症(Low titer cold agglutinin disease:Low titer CAD)は,低力価の寒冷凝集素が22%アルブミンを用いた測定法により著明に上昇し,30℃以上でも活性を示す特徴を有する.本論文では37℃条件下でも強い自己凝集を認めたLow titer CADの症例を経験し,その解析法を検討した.寒冷凝集素が引き起こす赤血球の自己凝集は,ABO血液型オモテ検査やRhD血液型検査を実施する上で障害となった.対処法として37℃あるいはそれ以上の加温条件下での検体管理や,温生食による血球洗浄を試みたが,自己凝集が強く自己凝集の抑制は困難であった.そこで我々は0.01M Dithiothreitor(DTT)を用いてIgM型抗体のジスルフィド(S-S)結合を還元的に切断し,自己凝集を抑制し,A型RhD陽性と判定した.Flow cytometryでの解析にて患者赤血球上のIgM型抗体が不活化されたことを確認した.また,輸血の際には同種抗体の有無も重要となるが,寒冷凝集素の作用温度域が広いため同種抗体の有無を判定出来なかった.そこで,患者血漿をDTT処理しIgG型の同種抗体は存在しないことを確認した.以上より,強い自己凝集を誘導する寒冷凝集素への対処法としてDTT試薬は操作が簡便であり,管理しやすく有用であると思われた.</p>

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