がん細胞の接着・移動とコロニー形成能:ヘパリンの新しい生理学的効果

  • 高橋 敬
    大分医学技術専門校 Northwestern University Feinberg School of Medicine
  • 羽田野 美里
    大分県立看護科学大学、生体科学
  • Kwaan HC
    Northwestern University Feinberg School of Medicine

書誌事項

タイトル別名
  • Cellular adhesion and locomotion of a metastatic carcinomatous cell line and the colony formation: A novel physiologic function of heparin

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説明

ウロキナーゼ・タイプ・プラスミノーゲンアクチベータ-(uPA)のクリングル・ドメインはヘパリンの硫酸基と特異的に結合するという知見に基づいてヘパリンの新しい細胞生理機能を探索した。すなわち高転移性がん細胞(ATCC, CCL-138, Detroit 562)を用い、ヘパリンを吸着させた培養プレートに対して細胞の接着とコロニーの形成能を検討した結果、1)ヘパリンにより細胞接着数は増加し、uPAを除去すると減少した。uPAを添加すると接着性が回復した。2)ヘパリン処理細胞への蛍光標識ヘパリンの結合は競合が起こり抑制された。3)ヘパリンは、コロニー数の増加と増殖(コロニー当りの細胞数)を抑制した。細胞表面の受容体結合uPA)は細胞外プロテアーゼとして機能(オートクリン)し、インテグリンとともに細胞接着斑に局在し細胞移動に関与することが知られている。すなわち、ヘパリンはがん細胞の増殖や浸潤・転移(移動)のブレーキとして機能することが示唆された。

収録刊行物

  • 形態・機能

    形態・機能 10 (2), 101-107, 2012

    コ・メディカル形態機能学会

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