手掌部に発生した脂肪腫の2例

書誌事項

タイトル別名
  • Lipoma of the hand: a report of two cases
  • シュショウブ ニ ハッセイ シタ シボウ シュ ノ 2レイ

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説明

<p>緒言:脂肪腫は,四肢と体幹に好発するが,手掌部に発生する例は少ない.今回,手掌部に発生した脂肪腫を2例経験した.</p><p>症例:第一例は83歳の女性である.左手掌部の腫脹を主訴に来院した.超音波検査により,腫瘤の存在,およびその腱との癒着の可能性と血管との位置関係を確認した.磁気共鳴画像(magnetic resonance image,以下MRI)では,腫瘤は脂肪と同様の信号を示した.手術時の所見では,腫瘍が浅掌動脈弓の深部にあり,示指屈筋腱と癒着していた.第二例は74歳の女性である.左手掌部の腫脹を主訴に来院した.超音波検査では,腫瘤により血管は深部に圧排されていた.MRIでは,腫瘤は脂肪と同様の信号を示した.手術時の所見では,腫瘍は母指球筋内にあり,筋肉と癒着していた.2例とも,病理診断は脂肪腫であった.</p><p>考察:今回経験した2例の症状が手掌部の腫脹のみであったように,手掌の深部に発生した脂肪腫は,比較的大きくなるまで発見されにくい.</p><p>結語:手掌部に発生した脂肪腫では,MRIと超音波検査が,鑑別診断と筋,腱および神経血管束との位置関係の把握に有用であった.</p>

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