ダイアンサス属花弁中のパラチノース加水分解活性とパラチノースによる開花調節作用との関わり

  • 佐藤 茂
    京都府立大学大学院生命環境科学研究科 京都府農林水産技術センター生物資源研究センター
  • 宮井 麻結
    京都府立大学生命環境学部
  • 杉山 想
    京都府立大学生命環境学部
  • 豊原 憲子
    大阪府立環境農林水産総合研究所

書誌事項

タイトル別名
  • Palatinose-hydrolyzing Activity and Its Relation to Modulation of Flower Opening in Response to the Sugar in <i>Dianthus</i> Species
  • Palatinose-hydrolyzing Activity and Its Relation to Modulation of Flower Opening in Response to the Sugar in Dianthus Species

この論文をさがす

抄録

パラチノース(イソマルツロース)は,近年まで,植物体中では代謝されないスクロースのアナログとみなされてきた.筆者らは,カーネーション花弁から得た粗酵素抽出液に,パラチノース分解活性が存在することをみいだした.カーネーション‘リリアン’由来の粗酵素抽出液を用いて検討した結果,分解活性は,α-1,6-グルコシド結合をもつパラチノースとイソマルトースを分解する α-グルコシダーゼ活性によることがわかった.パラチノースは,カーネーション‘リリアン’と‘ピュアレッド’,‘ライトピンクバーバラ’の開花を促進したが,ヒゲナデシコ‘新緋車’の開花を抑制した.カーネーション花弁由来のパラチノース分解活性は,ヒゲナデシコの活性よりも数倍高かった.これらの結果から,カーネーションではパラチノースはグルコースとフルクトースを供給することにより開花を促進し,他方ヒゲナデシコでは分解されずに蓄積したパラチノースが α-グルコシダーゼ活性などの一般代謝活性を阻害することにより開花を抑制することが推察された.

収録刊行物

被引用文献 (1)*注記

もっと見る

参考文献 (21)*注記

もっと見る

関連プロジェクト

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ