家庭用防虫剤由来物質の室内曝露レベル推定を目的とした日本の家庭における防虫剤使用量調査

  • 小野 恭子
    国立研究開発法人 産業技術総合研究所 安全科学研究部門
  • 光崎 純
    独立行政法人 製品評価技術基盤機構 化学物質管理センター
  • 中村 淳
    独立行政法人 製品評価技術基盤機構 化学物質管理センター

書誌事項

タイトル別名
  • Quantitative survey of the amount of moth repellent used in Japanese households to estimate indoor exposure levels

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抄録

日本全国を対象に家庭用防虫剤(パラジクロロベンゼン系(PDCB),ピレスロイド系(PYRE),その他)の使用量をオンラインアンケートにより調査した(N=1715)。アンケート回答者の属性は既存の統計等のそれと大きく異ならず,得られた使用量データは実態を反映していると判断された。世帯ごとの使用量の差異が大きく,調査した全世帯では,世帯あたりPDCB防虫剤使用量の中央値が0 g,95パーセンタイル値(95%ile値)が784 gでありPYREについてはそれぞれ0 g,3.85 gであった。寝室のPDCB防虫剤使用がある世帯に限ると,中央値に対する95%ile値の比は4.6であった。zDCBとPYREともに寝室と居室の使用量に正の相関(r=0.66)が見られ,複数の部屋で濃度が高くなるリスクがある世帯の存在が示唆された。後進ステップワイズ法による重回帰分析を行い,使用量と関連の高い因子を特定した。寝室のPDCB使用量の場合,クローゼットの数,居室のPDCB使用量,年齢が大きくなるにつれ増え,衣装収納の数,寝室のPYRE使用量が大きくなるにつれ減る,というモデルが得られた。定常状態を仮定したボックスモデルにより,使用量から室内濃度を試算した。PDCBでは中央値で実測値の0.2倍,95%ile値で2倍,PYREでは95%ile値で2倍であった。本研究により,室内濃度の実測値の乏しいPYRE等についても比較的簡単な仮定のもとで使用量から曝露レベルを推定できる可能性が示された。

収録刊行物

  • 室内環境

    室内環境 19 (1), 11-22, 2016

    一般社団法人 室内環境学会

参考文献 (8)*注記

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