インシデントレポート・医事管理データによる転倒・転落に起因する追加的医療費算出の試み

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タイトル別名
  • EXTRA MEDICAL COSTS DUE TO FALLS BY USING INCIDENT REPORTING AND ADMINISTRATIVE PROFILING DATA AT A TEACHING HOSPITAL IN JAPAN:A RETROSPECTIVE CASE STUDY
  • インシデントレポート イジ カンリ データ ニ ヨル テントウ テンラク ニ キイン スル ツイカテキ イリョウヒ サンシュツ ノ ココロミ

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抄録

入院患者の転倒・転落に起因する検査や治療は,原疾患の診療とは異なり,本来不要で,その追加的医療費は保険者である行政や病院管理者等にとっては看過できず,医療経済学上,正確な把握が必要である。本院における2007年∼2009年度の3年間のインシデントレポート7,717件について,転倒・転落件数は影響度レベル別にレベル2が824件,レベル3aが298件およびレベル3bが46件であった。そのうち,あらたな医療費(追加的医療費)が確認できた件数(費用判明率)および1件あたりの平均追加的医療費は,レベル2が205件(24.9%)および10,070±7,934円,レベル3aが186件(62.4%)および12,859±15,772円,レベル3bが34件(73.9%)および226,723±281,065円で,レベル2・3a間(p=0.027),3a・3b間(p<0.001)でも有意差を認めた。この結果から,年間あたりの追加的医療費を推計すると,各レベル別にレベル2が2,744千円,レベル3aが1,281千円およびレベル3bが3,476千円で,総額約7,000千円と推計された。したがって,医療安全管理の立場から,効率的な転倒・転落防止策として,3b事例を防止することが重要であることが示唆された。

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参考文献 (22)*注記

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