側方ガイド傾斜角についての定量的検討

  • 竹内 久裕
    徳島大学病院 歯科(かみあわせ補綴科)
  • 中野 雅徳
    徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部口腔機能福祉学分野

書誌事項

タイトル別名
  • Quantitative Study on Inclination of Anterior Guidance

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抄録

目的:本研究では,側方ガイドの傾斜角度について,すでに報告されている研究結果を基に臨床的な標準値を明らかにすることを目的とした.<br>方法:中野(1976 年,補綴誌)によって計測値が公表されている31 名の滑走データを用いて再解析を行った.まず切歯点移動量1 mm あたりの全運動軸回転量を単位全運動軸回転量とし,側方滑走運動時における切歯路と顆路のZ 実角差を求めて,両者の関係から標準値を求めた.次に咬合器シミュレーションを行い,側方滑走運動時に標準的な単位全運動軸回転量を得るための切歯指導板調整量を求めた.<br>結果:側方滑走運動時の単位全運動軸回転量は平均0.15 ± 0.11 度>mm,中央値0.15 度mm であり,切歯路-平衡側顆路のZ 実角差と単位全運動軸回転量との相関係数はr=0.84(Pearson の相関係数,側方滑走運動時)であった.またガイド角度は,切歯路Z 実角=平衡側顆路Z 実角- 5 度± 9.5 度(カンペル平面基準)であった.咬合器シミュレーションでは矢状切歯路を平衡側顆路角+ 5 度とし,側方切歯誘導角を約15 度にすることで,約0.15 度mm の標準的な下顎回転量を得ることが可能となることが明らかとなった.<br>結論:切歯路と平衡側顆路のZ 実角差は,単位全運動軸回転量と非常に高い相関を有しており,単位全運動軸回転量を基準とすることで側方滑走運動時のガイド角度や咬合器の調整範囲が明確となった.

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